喜びの表情☆

wadama552005-09-16

社員の、成約して喜びの表情です☆こういう瞬間があるから、この仕事はやめられない。


前から進めたかった研究開発分野の仕事をいただきました。みんなおめでとう〜!


「滋賀からきました」と言うと、「おおっ近江商人ですね!」といってくださる方がいます。その近江商人の商いの理念に「"三方良し"の精神」というのがあります。「売り手良し、買い手良し、世間良し」ということです。新江州株式会社の森社長さんがお話していた内容を抜粋してご紹介したいと思います。


「三方良しを考え、新しい地域に文化を広げて、そこに新しい物を売る」エクスアーツの理念にもどこか通じているように思います。


新江州株式会社森社長の講演「近江商人の哲学」より抜粋----


「三方良し」の哲学
 次に「三方良しの哲学」ということです。近江商人は、「三方良し」ということを言うんですよね。この「三方良し」とは何かというと、「売り手良し、買い手良し、世間良し」ということです。
 近江八幡の市長をなさっている川端五兵衛さん。あそこのご先祖が近江商人の古いお家だったそうであります。あの方がおっしゃったんですが、「家の先祖は蝋燭やら数珠を売りに行くのに」近江商人は山間僻地に物を売りに行ったんですね。大都会へは持って行かずに、誰も人の行かないようなところへ。天秤棒で、こちらから例えば織物とかそんなものを持って行かれ、文化と一緒に運んで行ってですね、現地の商品をまた仕入れてこちらへ持って帰ってくる。こういうことをおやりになったんだそうです。例えば京都とか浪速とかの都へ物を運ぶということはやらなかった。そういうところへ物を持っていきますから、買い手のほうは非常に待っていてくれる。「近江商人が来はったで」ということで人が集まってくれた。
 そこで一つ賢いのはですね、物を売るのではなくて、文化を広げてそこへ売るということなんだそうですね。お店というものがありますが、昔は「見世」と書いたそうですね。「世の中を見せる」と言ったんだそうでありますが、つまり文化を売るということで、それはどういうことかというと、川端さんの先祖は蝋燭やら線香やらを持って行かれたのでしょう。数珠とか。そして「これは何するものですか」と聞かれる。「これは数珠で手にはめるんです」「その時、どうするんですか」「蝋燭つけて線香あげてご先祖を拝むものや。そしてご先祖に、今日あるのはご先祖のおかげです。ありがとうございましたという感謝の日暮しをするんや。それを子孫に伝えて行くんや。子供たちに家というものを守ることを伝えなあかん」と教えていく。「これが原点なんだ」という話をされたそうです。「へえ、そんな有難いものか」ということで「じゃあ、数珠やら下さい」ということになるから、それが飛ぶ様に売れたらしいです。それで次行った時には「あなたの言った通り、拝んだ、日暮しをしてたら、本当にあなたのおっしゃるように気持ちも落ち着くし、家の中が円満にいくようになった」とみなさんに喜んでもらえる。そしてそこで商売ができる。
 だから今のコンビニのようにですね、バーコードで、売れるものが無くなったらすぐ補充する。これは物を供給することです。ところが近江商人が考えた商売というのはこの「お見世」の方でですね、世の中を見せて「あっそんな物があるの」という驚きで、あるいは「そんな便利なものがあるの」というような発見があって、そこへ物を売っていく。それが「買い手良しなんだ」ということです。
 しかも、そこでお伝えすることが悪いことでは駄目ですよね。一時的な快楽に走ったり、しょうもない物を売って、それで世の中まずくなっちゃいかんけど、この場合は数珠や蝋燭を売る。そうすると皆の気持ちも落ち着くし、息子たちも家を捨てて出て行ったのが「この家は先祖から預かったものだから、自分の代で捨ててはいけない。家を守ろう」ということで残ってくれる。そういう文化を伝えて、それに合わせて物を売っていった。それが「世間良し」だということです。
 ところが先般来ですね、環境問題に入らせていただいてから、「もう一つ意味があるなあ」ということに気付きました。それは、「売り手良し」というのが最初にありますよね。「売り手良し」の考え方というのは、供給側にとっていいという問題であります。これは20世紀までの時代はまさに「売り手良し」の時代だったと思うんです。
 これに対して買い手が本当に欲しいものは何かという観点は、これとまた別なんですよね。つまりお客さんの観念が変わってくると違う物が必要になってくる。そこに情報をお伝えして物を売らなければいかん。
 それからその次には世間が何を求めているかということなんですよね。
 実は私共、今から3、4年前に「物流包装エコロジー情報館」というのをつくりました。これは、我が社の一つの特徴づけとして、今わが国で発売されている、あるいは発売されようとしている、商品のなかで環境負担の少ない素材を一堂に集めて展示しよう。それを我が社のお客様にご覧いただいて、包装設計されるときにそういう素材をお使いになるとどの程度環境負担が減るかということをお互いに研究して、それで世の中に貢献しようということを思いついたわけであります。これは「売り手良し」からですね、「買い手良し」の方へちょっと考えがいったわけですね。それだけでも「なかなかそれはいい」ということで評判を呼ぶようになりまして、一応全国から今も品が集まっているんですよ。その時に滋賀県の國松知事さんもご覧いただいている。「これは面白いなあ。これでっかいやつやって、環境メッセなんかやったらええなあ」 とおっしゃったのがきっかけで「環境ビジネスメッセ」がスタートしたようなこともあるわけであります。
 その時に私は、環境生協の藤井さんと県の委員会でご一緒のときがありまして、僕は「ぜひ藤井さんに見ていただけ」と、市民運動の方、生活者の方というのはどういうものを見られるのかを。正直心の中で藤井さんに見ていただけたら「なかなか立派なことをやっている」と褒めてもらえると思ったんです。知事さんも褒めはったんですからね。で、見てもらったらですね、その時こうおっしゃったんですよ。「これ森さん、誰のためにやるの?」と。つまり、これは供給側の論理でですね、やっぱり使い捨て商品なんですよ。量を減らそうという発想が全くない。なぜなら、うちのお客さんのメーカーさんも使い捨てでないと回収とかなってくると困るから。その時藤井さんは「生活者の身になって考えるという姿勢がいるよ」とおっしゃったんですが、僕はそれは「世間良し」という話だなあと思った。
 つまり、世間のことを忘れてた。自分は売らなきゃならん。お客さんであるメーカーさんはそういうものを見ると欲しがらはるだろう。しかし、世の中のためになるのかどうかということの観念がなかった。
 「エコ容器包装協会」をスタートする時、藤井さんにご紹介いただいた、立命館の平井教授もおっしゃっていました。「今これからの時代は『世間良し』ということが中心になるよ」と。
 物が不足して供給が小さく需要が大きい時とか、供給サイドの理屈でがんがん売っていける時は、これは「売り手良し」の思想なんであります。
 それから、「買い手良し」というのは、CS(customer satisfaction)とかよく言いますよね。要するにお客様にとってどうかという判断。またこれも個人消費が厚く層としてある時はこれでしょう。
 ところが、今や「世の中がこうあるべきだ」という、世の中の要請が全面に出てきた。まさに世の中はそういう方向へ動いて行くということです。